アメリカのイラン攻撃への協力を拒否する欧州ー際立つ日本の対米従属

 イタリア国防省が同国内の基地にイラン攻撃のため中東に向かう予定だった米軍爆撃機が着陸することを拒否した。イタリア政府は、事前に協議がなかったことを表向きの理由としたが、米国の二国間協定では、通常の兵站、後方支援などであれば基地利用が認められているところ、今回の飛行はその「対象外」と判断したようだ。メローニ首相は高市総理と同様、トランプ米大統領と良好な関係を築いてきたが、米国とイスラエルによるイラン攻撃からは距離を置き、11日の上院での演説では、両国によるイラン攻撃は「国際法の範囲外」の介入だったと批判。「イタリアはこの介入に参加しておらず、参加する意思もない」と強調した。スペイン政府も、イランへの攻撃に関与する米軍機に対して、自国領空の通過を拒否した。

 アメリカによるイラン攻撃に対する日本の態度はこれとは大きく異なる。イラン攻撃の火ぶたを切ったトマホークミサイルは横須賀基地から出航した第七艦隊所属の艦船から発射された。横須賀だけでなく、厚木、岩国、佐世保、沖縄の各基地に所属する米軍部隊がイラン攻撃に参加している。イスラエル、米国のイラン攻撃が国際法違反であることについて日本政府は一切これを認めようとしていない。高市総理は「国益のためだ」というようだが、加盟国に安保理決議に基づく場合及び自衛権行使の場合を除いて武力行使を禁止し紛争の平和的解決を義務付けた国連憲章に基づく国際秩序を維持するために努力することこそ、日本にとって根本的な国益ではないか。このような屈従的な対応は、「日本は外交において主体的判断ができない国」という国際的評価を広げ、日本に対する信頼を損なっているのではないか。

 欧州と日本の対応の相違の直接的要因は高市内閣の政治姿勢だが、それだけではない。

 イタリアの場合、米軍駐留の根拠は、NATO地位協定、二国間の補足協定(イタリア国内の基地使用協定)であるが、重要なのは、① 基地や領域の使用は「イタリア主権の下での提供」であり(主権国家の領空統制権)、② 無制限の包括使用は認められていないという原則に基づいており、これにそった運用が行われてきた。

 これに対し、日米安全保障条約 第6条は、「日本国は、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、合衆国に対し、施設及び区域の使用を許す」と規定しているところ、「使用を許す」としか書いておらず、使用の具体的内容(出撃・移動・演習など)は限定されていない。ここから、米軍には領空の通過を含む航空活動等を含めた「包括的な基地使用権の付与」がなされているとの解釈が成立することになる。1960年改定時の交換公文(岸・ハーター交換公文)では、核兵器の持込み等、戦闘作戦行動の発進、基地の重要な変更の場合に限り事前協議の対象となるとされているが、米軍の部隊移動(配備・移駐・演習のための移動など)は原則として事前協議の対象にはならないと解釈され、今回の在日米軍基地からの出動についても「移動」に過ぎないとして事前協議は行われていない。

 在日米軍の駐留目的は「条約では極東の平和と安全への寄与」となっているが、実際の運用では、米軍がインド洋、中東地域を含む地球的規模での軍事行動の一大拠点となっているのである。

 

 このように、アメリカのイラン攻撃のために自国の基地の使用を認めるか否かについて、日本とイタリアの姿勢が大きく異なる背景には、日米安保条約と地位協定が、NATOに比べ、著しく対米従属的なものであり、日本の国家主権が大きく損なわれているという事実が横たわっている。